記事提供:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2016年10月25日号より
※本記事のタイトル・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです
このままでは日本は後進国になる。そして経済的植民地へ…
成長率アップに失敗すれば、「今まで通りの暮らし」ができなくなる
今、安倍内閣は「デフレの完全脱却」を目指したアベノミクスを展開しています。
「デフレの完全脱却」とはつまり、GDP成長率が低くなる低成長、あるいはゼロ成長、あるいはゼロ成長、マイナス成長にすらなってしまう「デフレ」を完全に終わらせ、GDP成長率を年率3~4%程度まで上げるということを意味します。
しかし今日本には、「成長率を数%上げることがそんなに必要なのか? 別に成長しなくたって、今まで通りで構わないじゃないか」という風に思っている方も少なくないと思います。
――が、そんな認識は完全に間違っています。
なぜなら、今の日本で「成長率を数%上げる」ことに失敗すれば、「今まで通りの暮らし」ができなくなるからです。
以下、その理由を説明したいと思います。
まずは、こちらのグラフをご覧ください。
これはこれまでにも何度かご紹介してきた「世界の全ての国・地域の名目GDPの推移図」。
ご覧のように、1995年ごろまでは、日本は順調に成長していました。結果、1995年には日本のGDPはアメリカの7割、(ロシアも含む全)欧州の5割程度の規模を誇っていました。
しかしそこから日本は「デフレ」になり、「ゼロ」ないしは「マイナス」成長となりました。一方で、世界中の国々のGDPは伸びていきます。結果、日本のGDPは中国の半分、アメリカの四分の一、欧州の五分の一という水準に至ってしまいます。
そして、全世界のGDPに占める日本のGDPシェアは、ピーク時の17.3%(2005年)から5.9%にまで、実に「三分の一以下」にまで激減しました。
つまり、日本経済はこの失われた20年の間に着実に衰退し、今や、決して「経済大国」とは言えないような国に成り下がったわけです。