日本は「実質的な経済制裁」を受けているのか?
歴史は残酷だ。イラクのフセイン政権は難癖をつけられて潰され、大統領は処刑されたが、忘れ去られつつある。エジプトなどのアラブの春は民主化運動の象徴的なものだったが、反米色が強く、軍事クーデターで潰された後は、「原理主義」だと言われている。米政府が軍事援助をしている相手国は、イスラエルとエジプトの軍事政権が他を大きく引き離している。ここに米国の本音を見ることが出来ないだろうか?
ベトナム戦争で米国が悪く言われるのは、負けたからだ。米国が勝っていれば、ベトナムは属国扱いとなり、歴史は塗り替えられていたはずだ。
その米国に負けた日本が、一時、「Japan as No1」などと持ち上げられた時代があった。1980年代後半だ。危険な兆候だった。その辺りから、米国と国際機関の日本に対する「助言」や「提言」は、国際化のためグローバル・スタンダードなどと言われたが、必ずしも日本のためにはならなかった。プラザ合意しかり、BIS規制しかり、税制改革しかりだ。
これは当然で、歴史を見れば、隣国や友好国への助言が相手国のためだった試しはなく、すべては自国(この場合は米国)のために行われるものだからだ。
またその頃、1991年には、もう1つの歴史的な大事件があった。ソ連邦の崩壊だ。ソ連邦は米国の政治上、軍事上のライバルだったが、それが消えた。ソ連邦に対抗するための極東の要だった日本の存在価値は大きく下がった。また、米国に政治上、軍事上のライバルがなくなってからは、ライバルは経済的に自国を脅かす国だけとなった。「Japan as No1」とは、米国人作家が言い出したことだが、危険な兆候だった。
私はメディアなどで、「親日的」「親中派」などと聞く度に、違和感を覚える。好き嫌いがあるとしても、好き嫌いで政治をするのだろうか。政治は、結局のところ損得だろう。私の見方では、日本の根本的な政策で、最も恩恵を受けているのは米国だ。日本の政治家は、米国に負けているのだ。
消費税の廃止が日本を救う
冒頭で紹介した、経済産業省の次官と若手有志による『不安な個人、立ちすくむ国家』には、「自分で選択しているつもりが誰かに操作されている?」との項目がある。
しかし私としては、日本の政治家、官庁にこそ「自分で選択しているつもりが誰かに操作されている?」のではと疑っていただきたい。そして、日本経済の低迷、格差拡大、財政破綻、社会保障制度破綻問題と、1989年から始まった「税制改悪」との関連を、自分のその目で確かめていただきたい。
政治家や経済人の多くが、社会保障制度の維持のためには消費税率の更なる引き上げが必要だと主張するが、上記の資料を見れば、それは妄言、あるいは虚言だと断言できる。
私は、消費税を廃止し、格差是正の税制に方向転換することが日本を救うと見ている。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年6月20日)
※太字はMONEY VOICE編集部による
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