米国金利の振れが世界の株式市場を左右する
~連銀の金利裁定、そこからの実勢金利、10年物国債の動きに注目
2014年3月以降は、失業率とNYダウの動きが異なります。失業率はさらに改善されてゆくのですが、NYダウはそれに反応しておりません。もっとも株式市場は景気予測の先行指標として位置づけられておりますので、この時点で5%近辺の失業率を読み込んでしまっているとも考えられます。市場は株価に影響力のある次のものを探し始めます。
ここでは、金利の注目度がこれまで以上に高まります。景気の好転は、失業率の改善と同時に金利の上昇にも繋がるというのが一般的な理解です。現在の連銀の引き上げ論議の背景には、その認識があります。公定歩合の動きは10年物国債等の動きを通じて住宅着工(住宅ローン金利)、企業の設備投資動向に影響を与えるので、経済先行きの見方の反映ともいえるのです。
直近の経済指標の動きが明確に好転していると判断がつかないことが、金利引き上げ判断に踏み切れない理由です。ところが、金融市場、とりわけ株式市場では、引き上げ論議をネガティブなものとして捉えます。引き上げ話により株価が下落するのです。低金利状態が恒常化することにより市場に資金が入りやすくなり、株式市場の活況が続くとしているのです。
金利引き上げを催促する経済の好調より、株式市場に流入する目先の資金の行方に関心があるのです。典型的な金融相場です。
継続していた金融相場
2015年12月公定歩合が0.75%から1.00%になりました。しかし、この影響を受けると思われていた10年国債は、グラフに示されたような動きです。それだけの長期資金需要がないことになります。
結果として、株式市場は低金利下における潤沢な投資資金を背景にした金融相場が継続していたことになります。必然的に、もし将来的に公定歩合が引き上げられれば、その後の10年物国債の金利がどのような動きを示すかが注目点です。先に示したグラフからは、短絡的ですが、この10年物国債の金利水準がNYダウを下支えしているようにも見えます。
※本記事は有料メルマガ『資産運用のブティック街』2016年10月4日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『資産運用のブティック街』(2016年10月4日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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