今回の韓国経済のメルマガは、現在も進行中の4つの主要な出来事を一気に紹介する形にした。ひとつずつ特集しても、その間にも進展があるのでとても間に合わない状況である。キーワードは「韓国の財閥グループ」である。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2016年10月2日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
ロッテ、サムスン、韓進海運、現代自動車…韓国最大のピンチ
危機的状況にある、4つの韓国財閥グループ
今週の韓国経済のメルマガは、現在進行形の4つの主要な出来事を一気に紹介する形にした。というより、ひとつずつ特集してもその間にも進展があるので、とても間に合わない状況である。キーワードは「韓国の財閥グループ」である。まずは簡単にどのような危機かを整理しておこう。
- ロッテ財閥…現会長の逮捕で経営陣が全員、日本人の危機
- サムスン電子…リコールしたギャラクシーノート7でも問題が発生
- 韓進海運…物流混乱してから1ヶ月たっても解決見込みはなし
- 現代自動車…12年ぶりの全面ストライキで数千億円の多額な損失。さらにインドに抜かれて世界6位へ転落
以上が4つの財閥グループの危機である。この中でロッテ財閥は危機から脱出するウルトラCを発動させたのだが、まず状況を説明しよう。
1. ロッテ
ロッテという企業は、日本のロッテが支配している構造となっている。これは、トップに位置するのが日本の「ロッテホールディングス」、つまり、持ち株会社ということである。その傘下に韓国のロッテ財閥が入っているので、事実上、ロッテは日本の企業である。在日企業ではあるのだが。
ただ、日本のロッテはただの有名なお菓子メーカーだが、韓国のロッテは財閥5位という超強大な企業グループを形成しており、経営は比較的に安定しており、ホテルやホームショッピング、石油化学など他業種で大規模なシェアを誇る。
さて、ロッテ財閥の危機というのは、韓国の検察がロッテ現会長に逮捕状を請求したことで、7人の経営陣が全員日本人になってしまったことだ。これによってロッテの経営権は完全に日本のロッテに奪われてしまう形となる。だが、上に書いた通り、経営陣が全員日本人であろうがなかろうが、日本のロッテが支配している構造に変わりはない。韓国メディアからすれば危機かもしれないが、日本人にとってはたいした話ではない。
だが、ロッテは韓国が配備しようとしているTHAADの配備位置にロッテのゴルフ場を提供したことで、現会長の逮捕状の請求を退けた。これが先ほどのウルトラCである。つまり、最初からよくわからないロッテへの一連の捜査は、ゴルフ場の提供で手打ちになりそうな感じなのだ。
これにより、ロッテ危機は過ぎ去ったと言える。ただ、ロッテワールドタワーといった建築物が危険なことに変わりないので、この先もロッテ財閥のニュースは出てくるだろう。