ウェルズ・ファーゴの前代未聞の不祥事。同社はウォーレン・バフェットが唯一、「永久保有銘柄」に認定する超優良銀行です。一体この先バフェットはどう動くのでしょうか?(『ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』東条雅彦)
「永久保有銘柄」米ウェルズ・ファーゴの不正に賢人はどう動く?
前代未聞のあり得ない不祥事
先月明るみになった、ウェルズ・ファーゴの前代未聞の不祥事。ウェルズ・ファーゴの行員は、顧客に許可を取らずに預金とクレジットカードの口座を不正に開設していました。
その数、なんと200万口座に達します。
米政府と協議した結果、ウェルズ・ファーゴは1億8500万ドル(約190億円)を支払うことで決着しました。また、顧客への損害賠償として500万ドルを支払うことになっています。
同行はこの問題で、過去数年の間に5300人の行員を解雇したことを認めました。
ウェルズ・ファーゴの全従業員数は265,200人です(2015年度)。解雇された5300人という人数は、全体の2%弱(1.99%)に当たります。100人のうち2人が、この不正行為に関わっていたわけです。
「知っている、知っていない」で言えば、もっと多くの行員が、この問題を認識していた可能性が高いでしょう。
ウェルズ・ファーゴはウォーレン・バフェットが唯一、「永久保有銘柄」に認定している超優良銀行です。一体、この先、バフェットはどう動くのでしょうか?<中略>
バフェットはウェルズ・ファーゴの何を気に入っているのか
米国の銀行は大きく分けて投資銀行と商業銀行があります。
投資銀行はモルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、メリル・リンチ、ベア・スターンズなどです。
これに対して預金を預かる商業銀行は、シティバンク、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ等が有名です。
投資銀行は金融危機の度に、業績が大幅に悪化するハイリスク・ハイリターンなビジネスになっています。
※リーマン・ブラザーズも投資銀行でしたが、2008年に倒産しました
一方、商業銀行はハイリスクな金融商品への投資は行わず、預金者から預かる資金を活用して、企業融資や住宅ローンの販売を行っています。
その中でウェルズ・ファーゴは、最も堅実な経営を行っていることで有名です。
堅実な経営、つまり、ハイリスクな投資を行わず、しっかり審査をして、担保を確保して、融資をするというスタイルです。
バフェットはここを気に入っています。
金融危機が発生して、銀行が倒産しそうになる中、ウェルズ・ファーゴは普段から慎重な経営をしている分、他の銀行より体力を温存した格好になっています。
不況期や金融危機が起きた時、体力のあるウェルズ・ファーゴは、他の銀行を吸収してビジネスを拡大することができます。
事実、リーマン・ショックが起きた2008年には、米銀大手ワコビア(総資産5207億ドル)を約151億ドルで救済合併しました。
みんながビジネスを拡大している時には控えて、不況期にビジネスを拡大する、独特の経営スタイルです。