トランプ大統領がサウジアラビアに1100億ドルの武器を売却したと報道されています。このことは、日本の「生産性」論議が筋違いであることを示しています。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)
日本人が信じる「もっと働けば日本の生産性が上がる」の大ウソ
米、サウジに12兆円分の武器を売却
CNNによると、トランプ大統領は20日、サウジアラビアに1100億ドル(約12兆円)分の武器を売却する契約に署名しました。
※参考:トランプ氏、サウジを訪問 12兆円の武器売却に署名 – CNN.co.jp(2017年5月21日配信)
武器売却は、それが良いか悪いかは別としまして、「生産性」が極めて高い経済活動です。
日本の艦船に同乗してひょいと見上げると、装備にはハネウエル「Honeywell」と書かれていたりします。ハネウエルはアメリカの電子機器会社で、武器も生産しており、2000年から2010年頃の株価は50ドルぐらいでした。しかし、今日(5/23執筆時点)ふと株価を見ると、131ドルにもなっています。
アメリカの武器売却は「生産性」が高く、それだけ儲かるわけです。
無意味な日米の生産性比較
ですから、こういう分野を無視して、日米の比較で「生産性が高い」「生産性が低い」という話をしても、全く意味がありません。
今回のトランプ大統領のサウジ武器売却でも、金額は12兆円。1回の訪問で12兆円のビジネスを成立させるのですから、「生産性」が高いのはあたり前です。
ということは、「日本人がもっと働けば生産性が上がる」とかそういう話ではなく、「何をやって儲けているか」という方がはるかに影響が大きいのです。
同様に、産油国の「生産性」が極めて高いのも、オイルを掘って売るわけですから、当然といえます。
一生懸命に仕事をするのは大切なことで、それで見い出されて、「シンデレラ・ストーリー」の呼び水になることもあります。しかし、それだけでどうにかなるという種類の話ではありません。
トランプ大統領が12兆円の武器を売却したり、オイルをどんどん輸出して儲ける産油国をみれば、日本の「生産性」論議は筋違いであることがわかるでしょう。
『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2017年5月23日)より抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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