銀行は自分で住宅を買い上げて住宅バブルをつくった
LBO(Leveraged Buy Out)というスキームをご存知だろうか?1980年代頃から流行し始めた企業買収の手法で、銀行は買収先企業の資産を担保に、買い手に資金を貸し付けるものだ。従って、買い手は少額の元金で、銀行が許す限りのどんな大きな企業でも買収することができる。
サブプライムローンとは、こうしたLBOの手法を住宅市場に導入したものだ。
サブプライムローンは、一見すると、夢のようなスキームだった。所得がなく、クレジットカードも持てない人でも、住宅なら持てたからだ。
実際、初期にサブプライムローンで住宅を取得した人の中には、夢を上手く現実に変えた人々がいた。住宅価格が値上がりしていたため、売却益でローンを返済し、残った現金を手にした人々がいたからだ。
とはいえ、その人たちでも値上がりした住宅は買えず、仮にもう一度サブプライムローンに手を出して、価格下落まで所有していたなら、すべてを失ったことだろう。
所得の少ない人が、ローンを組んで高額な買い物をすれば、多くの場合は支払利息の延滞や、支払い不能に至るのは自然の成り行きだ。そうなれば、担保となっていた住宅は銀行のものとなる。銀行にとっては、これは半ば織り込み済みのことだ。
そう考えると、住宅を買った個人は、実は書類の上だけの所有者で、資金は銀行から出て、住宅販売業者に流れたことがよく見えてくる。
限りなく犯罪に近い合法ビジネスの破綻
つまり、銀行は自分で住宅を買い上げて住宅バブルをつくったのだ。狙いは売却益や、住宅産業とのビジネスの拡大だ。個人は事実上の名義貸しに使われた。
公的機関を含めた、ほぼすべての金融機関、保険会社、保証機関、住宅販売、住宅建築が関わった、限りなく犯罪に近い合法ビジネスの破綻が、サブプライム・ショックの真相だ。