遅すぎはしたが、極めて自然だったバブル崩壊の流れ
ここで、米住宅市場の背景に踏み込んでみよう。
住宅着工のピークは2007年ではなく、2006年につけている。過去10年間では約70%増加していた。
一方、住宅販売のピークは2005年だ。これは過去10年間で約90%増加した。これで推測できるのは、売れなくなって、建てられなくなったという、極めて自然な流れだ。
そこで、米住宅市場の根っこを支える米人口の動向を見てみよう。
米国は先進国で唯一、毎年約1%の人口増を見ている。これは多くの移民を受け入れているからでもあるが、ほぼ手ぶらで移民してくるので、住宅市場を支えることには変わりがない。むしろ相続する家屋がないため、住宅市場にはより貢献するともいえる。
この3つのチャートで伺えるのは、人口増10%に対し、はるかに多くの住宅が売られ、また建てられていることだ。とはいえ、米国人でこれまで住宅を所有していなかった人々が住宅市場に参入して来れば、これも実需となり市場を支えることになる。
そこで、次に挙げるのは、米国世帯に占める住宅所有の比率だ。
持ち家比率はピーク時に67%を超える。一方で、米国の貧困率は10数パーセント、クレジットカードのデフォルト率は2割を超える。加えて、買えるのに買わない、あるいは、学校卒業直後、移民直後、売却直後など、様々な理由で住宅を所有していない世帯を考慮すれば、持ち家比率60%台の半ばでは、住宅市場はほぼ飽和状態だったと見なせるかもしれない。
とはいえ、住宅産業や住宅金融機関が、市場がほぼ飽和状態だからと、見積もりだけで廃業することはない。