むしろ危機感がないのは日銀のほうだった
日本では前掲のチャートに見られるように、超緩和政策がそれ以上に長く続いているので、異常とは感じない人が多いかもしれない。
例えば、戒厳令や戦時下の灯火統制などというのは異常事態なのだが、常態化するとそれが日常となるのに似ているかもしれない。人は何にでも慣れるが、正常な物差しは失わないようにしたいものだ。
米連銀はサブプライム・ショック後、リーマン・ショック後に、米金融市場初めて、ほぼゼロ金利政策を導入した。量的緩和こそ遅れたが、危機感がなかった兆候は見られない。
むしろ危機感がないのは日銀のほうだ。米政策金利の急低下、それに伴う円高、株安にも関わらず、日銀が政策金利を引き下げたのはリーマン・ブラザーズ破綻後だ。欧州中銀は逆に引き上げるが、そのことでドイツ経済が結果的に立ち直るので、別の意図があったと見なすことができる。
米連銀のバランスシートに明記されている事実、また政策金利の推移を見ても、サブプライム・ショックを抜きにして、リーマン・ショックを語るのは無意味だと断言しておく。
そこで、次回の後編では「サブプライム・ショックの真相」を深堀りしてみよう。
※この記事の後編が公開されました。続きはこちらからどうぞ
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2016年9月15日)
※太字はMONEY VOICE編集部による
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