今週の大和証券のレポート「もし日銀がTOPIXをもっと買った場合~TOPIX型ETF買い入れ比率を引き上げた場合、需給インパクトへの影響は」を、『「兜町カタリスト」』の櫻井英明さんが解説します。
日銀ETF買いは日経平均採用銘柄に偏重、今後の変更は?
大和証券レポート
大和証券のレポートは、タイトル「もし日銀がTOPIXをもっと買った場合」、サブタイトル「TOPIX型ETF買い入れ比率を引き上げた場合、需給インパクトへの影響は」となっている。
内容をまとめると、下記である。
日銀がETF買い入れ額の倍増を決定して1か月以上が経過。現行の買い入れ方法において需給面での好インパクトが日経平均採用銘柄に偏重することを問題視。9月の日銀金融政策決定会合で、その偏重解消を目的とした買い入れ方法の変更が行われるのでは?との声が出始めている。
日銀の現行の買い入れルールに基づくと、日経連動型を54.3%、TOPIX連動型を41.3%、JPX型を4.4%の割合で買い進めることになる。結果として、日経平均の構成ウェイトが高い銘柄が需給面での恩恵を受けやすい公算となる。実際に8月以降は好インパクト上位30銘柄がTOPIXをアウトパフォームする動きとなった。
日経平均への偏重を解消するため、TOPIX型への買い入れ比率を仮に6割まで引き上げた場合で試算。需給インパクトこそ低下するが、好インパクト上位銘柄の顔ぶれに変化はみられない。結局、日銀による買い入れが、これまで好インパクトを受けていた一部の銘柄から幅広い銘柄へ、金額を薄く再分配することとなり、需給インパクトの偏重は劇的には解消されない公算となる。
結論は「よって、日銀の買い入れ比率変更の可能性は低く、インパクト上位の高パフォーマンスが続くというのがメインシナリオ」。
日銀のETF買い入れによる好インパクト上位銘柄
ファーストリテ<9983>、アドバンテスト<6857>、ユニーFマート<8028>、
コナミ<9766>、日立建機<6305>、コムシス<1721>、
松井<8628>、太陽誘電<6976>、トレンド<4704>、
東邦鉛<5707>、日清紡<3105>、TDK<6762>、
NTTデータ<9613>、日産化<4021>、北越紀州<3865>、
化薬<4272>、オークマ<6103>、三菱倉庫<9301>、
ヤマハ<7951>、太平洋金<5541>、大日住友薬<4506>、
東洋製缶<5901>、クレセゾン<8253>、テルモ<4543>、
日東電工<6988>、京セラ<6971>、東エレ<8035>、
千代建<6366>、日ハム<2282>、宝<2531>。
TOPIX型ETFの買い入れ比率が引き上げられた際の需給インパクト変化上位
中国工業<5974>、ダイトウボウ<3202>、TAC<4319>、
インプレス<9479>、アルテック<9972>、早稲田アカ<4718>、
オルトプラス<3672>、サンヨーホームズ<1420>、CVSベイ<2687>、
APカンパニー<3175>。
日経平均採用銘柄のうち需給インパクト変化上位銘柄
みずほ<8411>、りそな<8308>、三菱UFJ<8306>、
三井住友<8316>、ドコモ<9437>、双日<2768>、
第一生命<8750>、鉄<5401>、関電<9503>、MMC<7211>、
中部電<9502>、JFE<5411>、日立<6501>、東芝<6502>、
三井住友トラ<8309>、神戸鋼<5406>、野村<8604>、
ANA<9202>、JR東<9020>、T&D<8795>。
『「兜町カタリスト」』(2016年9月13日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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