市場では北朝鮮問題を嫌気した買い控えと防衛関連株の人気化が顕著です。しかしだからこそ、北の脅威が「杞憂」となる相場がどのタイミングで到来するか、しっかり見定めたいところです。(『億の近道』炎のファンドマネージャー)
プロフィール:炎のファンドマネージャー(炎)
小学生から証券会社に出入りし、株式投資に目覚める。大学入学資金を株式の利益で確保し、大学も証券論のゼミに入る。証券会社に入社後は一貫した調査畑で、アナリストとして活動。独立系の投資運用会社でのファンドマネージャーの経験も合わせ持つ。2002年同志社大学・証券アナリスト講座講師を務めたほか、株式漫画の監修や、ドラマ『風のガーデン』(脚本:倉本聰)の株式取引場面の監修を行う。
見送り商状の中で防衛関連銘柄が人気化。市場の転換点はいつ?
防毒マスク、銃・火器銘柄の異常人気
北の脅威や中国の海洋進出に対抗するには、防衛予算の拡大が不可欠との議論が巻き起こっています。
GDPの1%という防衛費の枠に留めている日本が、米国の安全保障の庇護のもとでやってこれた時代が徐々に変わろうとしている昨今、国民を守るための防衛費拡大が国の施策に盛り込まれていくのは当然の流れでもあり、ここに来ての防衛関連株の人気化が顕著です。
とは言え、防衛関連銘柄と言っても物色対象は中小型株に限定されており、大型防衛関連銘柄は反対に冴えない展開となっています。
北朝鮮の生物兵器がミサイルに搭載されて日本に飛んでくる可能性が首相の口からも出てきたことで、俄然人気化したのがサリン・防毒マスク関連の興研<7963>、重松製作所<7980>、アゼアス<3161>など。
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興研<7963> 日足(SBI証券提供)
これらの銘柄は3月末に比べ直近の高値まで3割から4割の上昇を示しています。これらは防毒マスクの定番銘柄と言えますが、短期投資家が関心を寄せたことで出来高も増加しています。ただ、短期的な値動きなので逃げ足も速い。
直近の防衛関連銘柄人気では、銃・火器関連の豊和工業<6203>、石川製作所<6208>、細谷火工<4274>が3月末から直近高値まで4割から3.2倍に急騰しており、4月に入っての累計出来高が発行済み株式数を大きく上回るなどやや異常な人気となっています。
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豊和工業<6203> 日足(SBI証券提供)
一方では、火器を手掛ける日本製鋼所<5631>の株価は本日(4月17日)1674円まで下落するなど低迷しており、二極化が顕著です。
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日本製鋼所<5631> 日足(SBI証券提供)
市場では、時価総額の大きな銘柄よりも、短期で動ける中小型株に焦点を当てているようです。なお、防衛関連株人気が一過性のものとなってくれることを祈願します。
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