日本は「人手不足」ではない。我が国(特に地方)に必要な3つの対策
何しろ、就業を希望しているものの、求職活動を行っていないため非労働力人口とされている、いわゆる潜在的な労働人口は、我が国は2016年の数字で380万人に及ぶのです。ある意味で、日本は人手不足ではありません。厳密には、
「生産性向上により実質賃金を高め、潜在労働力を活用することで人手不足を解消する」
という正しい道が存在しているにも関わらず、生産性向上のための技術投資や設備投資に踏み切らず、賃金の引き上げも拒否した結果、生産年齢人口比率低下の影響をまともに受け、ひたすら人手不足が深刻化していっているわけでございます。
特に、若年層が相変わらず東京に流出する地方は、人手不足が顕著になっていっています。米沢の経営者の方々が言っていた、「もはや給料の問題ではなく、労働市場に失業者がいない」という言葉が印象的でした。
無論、地方においても潜在的労働人口の労働市場への流入を促進する必要がありますが、同時に日本の地方こそが「生産性向上のための投資」を牽引するという事実を理解して欲しいのです。世界における生産性向上を、日本の地方が牽引する時代が訪れたのです。理由は簡単。日本の地方こそが、世界の中でも突出して人手不足が深刻化していっている地域であるためです。
上記を理解したとき、日本の人口減少や地方からの人口流出を、「このままでは日本が衰退する~っ!」といった、ナイーブ(幼稚)な文脈で理解してはならないことが分かるはずです。日本国(特に地方)に必要なのは、人手不足を解消する生産性向上のための投資、実質賃金の引き上げ、潜在労働力の活用、この3つ以外にはないのです。
日本の経営者が、あるいは日本国民が、「人口減少で衰退する~っ!」といった幼稚な理論から脱却し、「人手不足を埋めるために、いかに生産性を上げるべきか」について真剣に考え始めたとき、我が国は再び経済成長の黄金循環に乗ることができるのです。
『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年4月19日号より
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