今年初めになって、欧米メディアが、とうとうドイツ経済に暗雲が垂れ込めていることを書くようになりました。ドイツ銀行の破綻は「現実的なレベルになってきた」と。それは、ドイツ銀行が身の丈以上の金融拡大を続けてきたことが原因です。(『カレイドスコープのメルマガ』)
※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2016年8月25日第170号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。割愛した全文もすぐ読めます。
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なぜ今?「緊急事態」に備え国民に食料備蓄を呼びかける独政府
現実味を帯びてきたドイツ銀行の破綻
ドイツ銀行の意味のないポートフォリオによれば、デリバティブ取引における保有残高は、2016年初頭の時点でドイツのGDPの25倍にまで膨らんでいたのです。それはとっくに、利払いができるかどうかの瀬戸際まで悪化しています。
ドイツが先か、日本が先か、それとも米国が先か……順序は別にして、そこには「はっきりした筋書き」が炙り出されてきたのです。
その「筋書き」は、いったい誰が書いているのか。そして、今年から(遅くとも2017年以内)始まるグローバルな連鎖崩壊の様相は、どれほど酷いのか。それについては、次号のメルマガで詳述することにしたいと思います。
リーマン・ショック以来のヘッジファンド解約数
さて、その「筋書き」ですが、今度こそは、欧米の慎重なアナリストたちが口をそろえて言ってきたように、本当に有史以来の未曽有の経済災害が誘発されようとしています。
最大の震源は、もちろん、ヘッジファンドの破綻です。
ここにきて、ヘッジファンドの解約は月間ベースで、2008年後半から始まった世界金融恐慌以来のペースで進んでいます。
ヘッジファンドの場合はレバレッジを利かせてある分、市場の大暴騰でも大暴落でも、予期せぬ事態に遭遇した場合、その損失は再起不能なレベルまで跳ね上がります。
しかし、もはや、はじける以外に適正な評価額に戻ることが叶わなくなっているバブルにおいては、当然のことながら大暴落に違いないわけです。
24日のブルームバーグによれば、「英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)はグローバル・トランザクション・サービス(GTS)業務の約3000顧客に、取引銀行の変更を急ぐように促した」とのこと。
ブレグジットの余波が、いよいよ表面化してきた?それだけではありません。欧州の金融危機勃発の兆候が顕著になってきた、ということです。
ドイツ政府が国民に食料や水の備蓄を呼びかけ
つい数日前、英BBCは、「ドイツ政府、国民に水・食料の備蓄呼びかけ」という、ゾッとする見出しの記事をアップしました。
ドイツ政府が冷戦以来初めて、国家的緊急事態に備えて食料や水を備蓄するよう国民に呼びかけている。ドイツ政府は24日にも民間防衛計画を承認する見通し。
……(ドイツの)民間防衛計画では市民に、少なくとも10日分の食料を供えるよう勧告している。
非常事態の際に公的支援が提供されるまでの間、自前で対応できるようにするためだ。
……政府は10日分の食料のほか、5日分の水(1人あたり1日2リットル)の備蓄も奨励している。
イタリアのペルージャで起こったような、巨大地震の前触れ?災害続きの日本人であれば、条件反射的にそのように考えるでしょう。
ドイツ政府が食料の備蓄を勧告しているのはドイツ全国民に対してです。地震ではありません。
では、シリア発、第三次世界大戦の勃発?
独紙フランクフルター・アルゲマイネによると、ドイツ内務省が発表した69ページにわたる民間防衛計画書では、「通常の国防が必要となるドイツ領への攻撃は、あまりあり得ないものの、国家安全保障への将来的な脅威の可能性を排除すべきではなく、そのため民間防衛の施策が必要であると考えたため」としています。
民間防衛計画書に書かれてある「10日分の食料と水の備蓄」が戦争への準備であると考えるドイツ国民は、おそらく、ほとんどいないでしょう。
ドイツ政府は、全国民に、いったい何を示唆しているのでしょう?