4月7日、森信親金融庁長官が「日本の資産運用業界への期待」と題した基調講演を行いました。金融庁のホームページで講演内容が公開されていますが、投資顧問業や証券会社向けの話も多いです。
そのため、本文から気になった部分を抜粋、及び要約や解説を加えながらまとめてみました。投資信託を購入、保有されている読者様も多いと思いますが、講演内容は金融業界の裏側や実態がよくわかる貴重な資料でもあります。(『日本株投資家「坂本彰」公式メールマガジン』坂本彰)
プロフィール:坂本彰(さかもと あきら)
株式会社リーブル代表取締役。サラリーマン時代に始めた株式投資から多くの失敗と経験を積み、株で勝つための独自ルールを作り上げる。2009年10月に130万円だった株式資産は、2016年に6000万円を突破。定期預金などを合わせた資産は1億円超。2012年より投資顧問業(助言)を取得。現在、著者自身が実践してきた株で成功するための投資ノウハウや有望株情報を会員向けに提供するかたわら、ブログやコラム等の執筆活動も行う。前職はラーメン屋という異色の経歴。メールマガジン『日本株投資家 坂本彰 公式メールマガジン』は2014年まぐまぐマネー大賞を受賞。読者数2万人。雑誌等のメディア掲載歴多数。主な著書に『小売お宝株だけで1億円儲ける法』(日本実業出版社)日本証券アナリスト協会検定会員候補。
金融業界の手数料ビジネスを痛烈批判、森金融庁長官の講演まとめ
新制度「積立型NISA」の基準を満たす投資信託はほとんどない
まずは冒頭、2018年度からスタートする積立型NISAについての話。
(解説:積立型NISAとは通常のNISAと違い、非課税枠の上限が40万円となるが、非課税期間が20年となる新たなNISAのこと。NISA口座をすでに持っている人は積立型NISAを選べませんが、年間投資枠が少なくなる代わりに非課税期間が4倍になります。また、総投資額も800万円となり、従来の600万円よりも多いなどの特徴があります。)
積立型NISAを新規に作った理由を語った後、積立型NISAの対象として残った公募株式投信は5406本中、50本弱しか残らなかったと指摘。
(解説:対象とは、一定基準を満たす投資信託のことだと思われます。)
その原因として、証券会社の手数料ビジネスに関する話へと続きます。
個人投資家を食い物にする「手数料ビジネス」を本音で批判
この辺りは昨年以前から発言している内容と一致ですね。印象に残った発言が「個人が買う株式投信の売れ行きを過去に遡ってみても、株価のピークで株式投信が最も売れる傾向にあります」という一文です。
顧客が儲かる商品ではなく、売れる商品を売れる時期に売るという姿勢を批判しているようにも感じました。普通、ドルコスト平均法では、安い時に株や投資信託を購入したほうがリターンは上がります。
(解説:ドルコスト平均法は定額購入法とも言います。資金を分割して均等額ずつ定期的に購入することで、株価の低いタイミングで多く購入できます。その後の好景気や株価上昇時で利益に転換されるため、投資初心者向きの購入法です。)
それと逆のことをしていると言いたいのでしょう。
続いて、家計金融資産に対するリスク性資産(株式や投資信託)の割合や他国との資産増加率の違いを指摘。米国や英国と比べて日本の金融資産が増えない理由に、手数料の取りすぎがあるという厳しい内容でした。
具体的に一部を抜粋すると、
投資商品を買っても思うようなリターンをあげられなかった顧客は、投資額を増やすものでしょうか?そうした商品を勧めた金融機関との取引をずっと続けるでしょうか?
と書かれており、金融関係者であれば、胃がズキズキするような発言だったと思います。
講演内容の全文は、下記リンクから閲覧およびダウンロードできます(PDFファイル)。
http://www.fsa.go.jp/common/conference/danwa/20170407/01.pdf
ぜひ一読してみましょう。
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『日本株投資家「坂本彰」公式メールマガジン』(2017年4月13日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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サラリーマン時代に始めた株式投資から株で勝つための独自ルールを作り上げる。2009年10月、130万円だった株式資産は2015年に5000万円を突破。定期預金などを合わせた資産は1億円に。平成24年より投資顧問業(助言)を取得。現在、著者自身が実践してきた株で成功するための投資ノウハウや有望株情報を会員向けに提供しているかたわら、ブログやコラム等の執筆活動も行う。メールマガジン「日本株投資家 坂本彰 公式メールマガジン」は2014年まぐまぐマネー大賞を受賞。読者数2万人。雑誌等のメディア掲載歴多数。2016年12月1日『「小売お宝株」だけで1億円儲ける法』が日本実業出版社より発売!