ロスチャイルド投資ファンドトップのJacob Rothschild伯爵が、その2016年上半期の業績報告書で、経済の先行きに対して極めて悲観的な見通し(英文)を語っています。
報告のポイント
2016年上半期のトータルリターンは、目下の悪い環境の中でも3.6%あり、純資産は87.9Mポンド増え、純資産は過去最高の2.5Bポンドに達した。
投資ファンドを率いる総帥のJacob Rothschild伯爵は、業績報告書の中で「この半年間を考えてみると、現在、全世界の中央銀行は世界の金融政策史上最大の実験をしている。それゆえ今後どうなるのか予測がつかない。超低金利政策、マイナス金利となった全世界の政府国債、巨額の量的緩和政策の影響により、予期せぬ結果が出てくるかもしれない」と述べている。
そのため最重要課題は資産の保護であり、ロスチャイルド氏は「株式への資産配分を55%から44%に減らした。またスターリング建ての資産も34%から25%程度に減らし、その代わりゴールドや貴金属の資産を8%に増やした。加えて“Absolute return and credit”(間違いなくリターンのあるものや信用の置ける資産)も増やし、これがこの半年間のリターンとして戻ってきた」とした。
報告のポイントはここまでですが、さらに掘り下げて、2016年上半期の業績報告書の詳細を見ましょう
彼の言う、トータルリターンに貢献した“Absolute return and credit”とは何なのか?同資産ファンドの業績報告書を見てみると…
(ア)業績報告書の冒頭部分で「量的緩和で株価を上げることに成功したが、これは永遠に続けられるものではないだろう。地政学的に超不安定要因になっていることなど、多くの逆風が市場を襲うだろう」と見ていることが読み取れます。それゆえに、安全資産に軸足を移し、ゴールド、貴金属の資産配分を8%増やしたと述べています。
(ウ)業績報告書の資産配分内訳データの一部です。“Absolute return and credit”(間違いなく信用できる安全資産)の欄には不動産が2つ、そしてブラックロック金鉱株ファンド、金先物、銀先物ロングと明記されています。
(イ)ただしこの2つの不動産資産は普通のものではなく、歴史的に重要な貴族の邸宅、居城であったり、歴史的な住宅資産です。その一つのSpencer Houseの写真が(イ)です。
一番安全なものが一番リターンが高いことは、この百年間の歴史で証明されています。
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2016年8月25日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
※太字はMONEY VOICE編集部による