台湾ロビー
「台湾ロビー」と聞いても、ピンと来る人は少ないのではないだろうか?アメリカには米政界に深く食い込んでいる「イスラエルロビー」が存在するが、言って見れば「台湾ロビー」も、これと同じような役割を日本で果たしている。
周知のようにアメリカの「イスラエルロビー」は、「AIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)」のような圧力団体を使い豊富な政治資金を米政治家に提供する一方、有力なシンクタンクや大学で「イスラエルロビー」の実質的なエージェントとなる人々を育成し、彼らにアメリカの安全保障政策を担当させた。
これが「ネオコン」と呼ばれる軍産系のグループであることはよく知られている。
「台湾ロビー」とは、台湾から資金の提供を受け、台湾の国益実現のために日本やアメリカで活動するグループのことである。
台北政府は、日本やアメリカの政治家、マスコミ関係者、研究者などに豊富な活動資金を提供し、イスラエルが「ネオコン」をエージェント化したように、日本のこうした人物を台湾の利害と矛盾しない外交政策を展開するように誘導している。
もともとはカトリックの太平洋戦略の元に中華民国を支援してきた日本とアメリカの反共勢力だったようで、いまでも「台湾ロビー」にはローマカトリックの信者が多いとされている。
日本では岸信介からはじまり、現在では森喜郎、麻生太郎、小泉純一郎、稲田朋美、高市早苗、そして安倍晋三などの反中国の右翼的な政治家が中心で、右派論壇のジャーナリスト、櫻井よし子もそうしたひとりである。
もちろん日本には、これに対抗する「北京派」も存在している。彼らは石橋湛山や池田勇人からはじまり、日中国交回復を実現させた田中角栄らの系列だ。現在では、加藤紘一、河野洋平、野田毅、田中直紀・真紀子夫妻、小坂憲次、二階俊博などがこの人脈だ。
台湾の「国家」としてのサバイバル
このような「台湾ロビー」であるが、アメリカの「イスラエルロビー」がアメリカに徹底的にイスラエル擁護の外交政策を採用させることによって、敵国に囲まれた中東の小国であるイスラエルが生き延びてきたように、各国が経済発展の著しい大国である中国との関係改善を図るなか、台湾が小国として独立を維持するためには、日米両国の外交政策を台湾擁護に誘導することがどうしても必要であった。
アメリカの「台湾ロビー」は「ネオコン」を含む軍産系の政治家やシンクタンクに秘密活動資金を提供して働きかけ、おもに軍事面で台湾を支援するように誘導した。
一方日本の「台湾ロビー」は、同じことを保守系、右翼系政治家や言論人、マスコミ関係者に対して行い、日本が中国から距離を取るか、中国脅威論を吹聴して両国を敵対させる外交政策へと誘導した。