2016年も半分以上が過ぎた今、投資家たちが薄々感じていること…それは「もうそろそろリセッション(景気後退)が来るのでは?」という漠然とした不安ではないでしょうか。去年までとは明らかに空模様が異なります。
私の中で最も衝撃的だったのは、ジョージ・ソロスが現場に復帰してきたことです。もう完全に引退したはずなのに、なぜ?その謎を解くカギは「米国 VS 中国」の覇権国争いにあると私は見ています。ソロスは「米国 VS 中国」の準備に備えているのです。
一方、バフェットは今年の株主宛ての手紙で「米国の繁栄を確信している」と強く主張していました。
ソロスとバフェットの意見を取り入れると、「中国は売り、米国は買い」という結果になります。本稿では世界経済の流れを追いつつ、大局的な視点から投資にも役立つ情報をお届けします。(『ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』東条雅彦)
中国を売るソロス、米国を買うバフェット…これから世界で起きること
トランプを痛烈に非難するバフェット
今年の11月8日に米国で大統領選挙が行われます。民主党のヒラリー・クリントン氏か、共和党のドナルド・トランプ氏かの二択で米国が揺れています。
ブルームバークの8月2日の報道によると、バフェットがトランプ氏に対して「君には品位というものがないのか」と厳しく批判したそうです。
トランプ氏が納税申告書の公開を拒否していることや、戦没者遺族を批判したことに、バフェットは噛みつきました。
トランプ氏はリスキーな発言を多く行うことで有名です。バフェットはリスクの少ないヒラリー氏を支持しています。
8月2日の最新の世論調査では、ヒラリー氏が46%、トランプ氏が39%となっており、なかなかの接戦が予想されています。
トランプ氏は様々な所で過激な発言を行っていますが、それでも多くの支持を得ています。
「(不法移民の流入防止のために)メキシコとの国境に『万里の長城』を建設し、メキシコにその費用を払わせる」
この発言からもわかるように、トランプ氏は「地域主義」です。米国は今までグローバルリズムで走ってきましたが、今、これに待った!がかかっています。
実はこの「地域主義」というのは今、世界の新しい潮流になっています。
バフェット「米国の失敗に賭けるのはひどい間違い!」
米国内で「米国悲観論」が出始めていることにバフェットは反論しています。
今年の2月27日に公開したバークシャーの株主宛ての手紙(通称「バフェットからの手紙」)では、次のように述べていました。
過去240年にわたり「米国売り」に賭けた投資をするのは間違いだった。
今もその時期ではない。
大統領選の候補者が米国の問題にばかり言及したため、多くの国民は、子供が将来、自分たちよりよい暮らしができないと信じてしまっている。
そうした考え方は絶対に間違っている。
米国の実質国内総生産(GDP)成長率が2%にとどまっていることを嘆く人もいるが、これは十分な成長率だ!
商業と革新における金のガチョウはこれからもたくさん、大きな卵を産み続ける。
ウォーレン・バフェットは米国悲観論を一蹴して、「米国の子供たちは両親よりも良い生活ができるようになる」と断言していました。
「米国を売るのはひどい間違い!」
「米国は商業と革新で富を生み続ける!」
バフェットが米国の将来を楽観視している理由は何なのでしょうか。次ページではそこに迫っていきます。