中国のバブルが崩壊しても米国にほとんど影響がない理由
日本貿易振興機構(JETRO)の最新データ(2014年)では、米国、中国の輸出・輸入相手国は次のようになっています。
米国の輸出国ランキング(構成比)
1位 カナダ(19.3%)
2位 メキシコ(14.8%)
3位 中国(7.6%)★
米国の輸入国ランキング(構成比)
1位 中国(19.9%)★
2位 カナダ(14.8%)
3位 メキシコ(12.5%)
中国の輸出国ランキング(構成比)
1位 米国(16.9%)★
2位 EU28(15.8%)
3位 香港(15.5%)
中国の輸入国ランキング(構成比)
1位 EU28(12.5%)
2位 ASEAN(10.6%)
3位 韓国(9.7%)
4位 日本(8.3%)
5位 米国(8.1%)★
中国から米国への輸出を見ると、米国は最も重要なお得意様(構成比16.9%)になっています。一方、米国から中国への輸出を見ると、構成比が7.6%と、相対的に低くなっています。
米国と中国の関係は「米国が消費者で、中国が生産者」です。中国のバブルが崩壊しても、米国は震源地から距離を置いています。
中国経済の崩壊で最も深刻な影響を受けるのは、中国をお得意様にしているEU28ヵ国やASEANとなります。
情報空間の支配を完了させた米国 VS 一帯一路で物理空間の支配を狙う中国
ウォーレン・バフェットは今年、4月30日の株主総会の場で、米国でトランプ大統領が誕生した場合のバークシャー社への影響を株主から問われました。
バフェットは以下のように回答しました。
「(バークシャーへの影響が)重要な問題ではない」
「トランプ氏になろうがヒラリー氏になろうがバークシャーはうまくやっていける」
「数百年にわたって米国経済はうまくやってきた。ビジネスは社会に適応し、社会もビジネスに適応してきた」
「どんな大統領候補も米国の高い成長を止めることはできない」
バフェットはグローバルリズムが修正されようがされまいが、米国の経済発展を確信しています!
経済の主体が情報空間に完全に移れば、地域主義で国境を制限するかどうかはそれ程、重要な問題ではなくなります。
話をわかりやすくするために一例を挙げると、今、日本では1レッスン100円で受けられる英会話が流行ってきています。講師の70%はフィリピン人だそうです。
日本人はインターネットを通じて、世界各地の講師から英語を習っています。講師たちは、移民として日本に入国する必要はありません。
ITで繋がる社会では、「万里の長城」を作っても移民の流入を防げないのです。
ITがグローバルリズムのセンターピンであり、物理空間の相対的重要度は少しずつ落ちてきています。
米国は金融とITの情報空間の制覇を既に完了させているので、誰が大統領になろうとも、米国の繁栄を止められないという構図になっています。
この空間を破壊する、別のアプローチを行う国や勢力が現れるまでは、安泰と言えます。
ウォーレン・バフェットの発言とジョージ・ソロスの行動を合わせて考えると、第4ラウンドは「米国が勝者となり、中国が敗者になる」公算が高いのです。