ここ数日ドル円レートが少し動きました。直近では1ドル=111円台前半まで円高が進行。今回は向こう数カ月程度までのドル円レートと米国株について考えたいと思います。(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)
プロフィール:田中徹郎(たなか てつろう)
(株)銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。
トランプの経済政策が「ゼロ回答」に終わる可能性はあるのか?
米大統領選挙後の円安はなぜ起こったか
アメリカ大統領選挙の直前のドル円レートは1ドル=104円前後でしたが、そのあとはトランプさんの政策を織り込む形で一気に円安が進みました。
この間、トランプさんが打ち出した経済政策に対し、為替は以下のようなロジックで反応したと言われています。
1.減税
減税→経済活動の活性化→利上げ→日米金利差拡大→ドル高
2.公共投資拡大
財政の拡大→財政の悪化懸念→米国債への信認低下→金利の上昇→日米金利差拡大→ドル高
3.規制緩和
規制緩和→経済活動の活性化→利上げ→日米金利差拡大→ドル高
上記(1)~(3)の合わせ技で、円は対ドルで14円ほども安くなったと考えてよいでしょう。
トランプ大統領と市場の蜜月関係はそろそろ終わり。次の材料は…
月日が経つのは早いもので、大統領選からすでに4カ月。トランプさんが大統領に就任してから2カ月。ドル円相場が1ドル=118円の円安に達してから3ヶ月です。市場と新大統領の蜜月関係はそろそろ賞味期限切れ、早くも相場は新しい材料を探し始めているようです。
一番の注目点は新大統領と議会との折り合いで、例えばオバマケアの撤廃や最高税率、減税規模などで両者の不一致が目立ち始めました。
仮に新大統領と議会の折り合いがつかず、上記「経済トランプ3点セット」がゼロ回答に終われば、いったいどうなるのでしょう。この場合、これまでと逆の力が加わり、為替は1ドル=104円に逆戻り。NYダウも18,000ドルに戻ることになるでしょう。
ただし、共和党案をみてみると、決して減税や財政拡大に後ろ向きではありません。従って、ゼロ回答ということは考えづらく、おそらく両者の案を足して二で割ったあたりに落ち着くのではないでしょうか。
そのような観点で現在の1ドル=111円台は、ちょうどうまい具合に適正レートになっているように思います。
一方でアメリカ株の方は「経済トランプ3点セット」を少し強く織り込みすぎではないでしょうか、目先調整の可能性が高まっているように思います。
『一緒に歩もう!小富豪への道』(2017年3月24日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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