EU離脱でも残留でも、移民・難民問題はもはや手遅れ
それにしても、現在のイギリス、国民が完全に二分化され、怒鳴り合い、水をぶっかけ合う光景を見ていると、グローバリズムや民主主義について改めて考えざるを得ません。
逮捕されたトミー・メイア容疑者は、デーリー・ミラーによると、白人至上主義雑誌を一時購読してたと伝えられています。実際のメイア容疑者の動機は、現時点では不明ですが、いずれにせよ国内で「移民反対派」と「移民受入派」が憎悪を持って争わざるを得ない国は、不幸だと思います。
正直、国民投票がいかなる結果になろうとも、イギリス国内で離脱派と残留派が「和解」できるとは思えません。今回の国民投票を切っ掛けに、イギリスはこれまで以上に「国民の分断」に苦しめられることになるのではないでしょうか。
だから、どうすればいいのか? と問われたところで、解答はありません。イギリスに限らず、現在の欧州諸国(東欧除く)の移民・難民問題は、もはや手遅れです。
もちろん、国民経済の需要が拡大し、経済が好調で、人手不足が深刻化しているのであれば、移民受入の問題はクローズアップされません。とはいえ、先日も書きましたが、現在の欧州小国は軒並みデフレ化しつつあります。イギリスにしても、直近のインフレ率はわずか0.1%です。
二の舞を避けるために日本が辿るべき道
国民経済がデフレ化する、あるいは不況に陥ると、途端に「外国移民」問題が国民を引き裂くことになります。ネイティブな国民にしてみれば、特に貧困化や失業に悩まされる国民にしてみれば、外国移民は、
「自分たちの雇用や所得を奪う敵」
と化してしまうのです。
現在の英国や大陸欧州の国々の状況を見る限り、我が国が辿るべき道はあまりにも明らかなのです。すなわち、「外国移民(=外国人労働者)を受け入れず、人手不足は生産性向上のための投資で解決する」でございます。
『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2016/6/23号より
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