英国でEU離脱が決まった際に起きるであろう「ポンド売り・ドル買い」に対して、各国の中央銀行は綿密に連携して対応しようとしているようだ。この連携の中で、日銀はどのような対応をするのだろうか。(『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』近藤駿介)
プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料版『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』を好評配信中。
各国中央銀行が綿密に連携する中、日銀の対応は?
英国のEU離脱に「十分に対応できる」黒田日銀総裁
黒田日銀総裁の記者会見で最も気になったのは、下記の部分。
英国の欧州連合(EU)からの離脱問題に関しては「国民投票で市場は揺れている」などと懸念を表明。離脱が決定するなどして、国際金融市場がさらに混乱した際の対応については「各国の中央銀行と緊密に連携している」とし、ドル資金供給などで「十分に対応できる」と説明した。
出典:日銀総裁、円高に懸念 英離脱問題「各国と緊密連携」 – 日経電子版 平成28年6月16日付
ドル資金供給などで「十分に対応できる」と説明した…。英国でEU離脱が決まった際に起きるであろう「ポンド売り・ドル買い」に対して、各国の中央銀行は綿密に連携して対応しようとしているようだ。
この連携の中で、日銀はどのような対応をするのだろうか。
各国との緊密な連携の中、合意を得られるか?
日銀がドルを供給する(売る)としたら、どの通貨を買うのだろうか。まさか「円買い・ドル売り」介入は出来ないので、常識的には「ポンド買い・ドル売り」。
しかし、日本が実施したいのは「円売り・ドル買い」。しかしこの介入は各国の中央銀行が連携して対応しようとしている「ドル資金供給」に逆行するもの。
果たして各国との綿密な連携の中で「円資金供給」のための「ポンド買い・円売り」介入の合意を得られるのだろうか。残された時間はあと1週間だ。
『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』(2016年5月29日号)より
※記事タイトル、本文見出し、太字はMONEY VOICE編集部による
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