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ソウルは火の海?米韓日と北朝鮮もし戦わば~ストラトフォー最新予測=高島康司

今、アメリカで北朝鮮への軍事攻撃の機運が高まっている。将来の脅威を排除するため、北朝鮮国内にある核関連施設やミサイル発射施設などを破壊するなら今しかないというものだが、実際に攻撃が実施された場合、北朝鮮はどのような反撃に出るだろうか。CIAや米国防省をクライアントに持つシンクタンク「ストラトフォー」の予測を詳しく紹介する。(未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ・高島康司)

※本記事は、未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 2016年6月3日号の一部抜粋です。興味を持たれた方はぜひこの機会に初月無料の定期購読をどうぞ。月初の購読は特にお得です!

半島有事で北朝鮮が反撃。その時ソウルは「火の海」になるか?

高まる朝鮮半島の地政学的リスク

前回のメルマガ(2016年5月27日号)では、アメリカによる北朝鮮軍事攻撃の可能性について詳しく解説した。

これまで、北朝鮮のキム王朝による軍事独裁体制は、中国にとってもアメリカにとっても好都合な存在であった。中国にとっては在韓米軍から本土を守るバッファーであったし、アメリカにとっては東アジアの脅威を煽ることで、米軍が日韓に駐留する口実にすることができた。

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しかし北朝鮮が、水爆実験と核爆弾の小型化、そして北米西海岸に到達可能な大陸間弾道弾の開発に成功すると、北朝鮮の脅威は高まり、これまで米中両国が享受していたメリットはもはや主張できなくなる。北朝鮮の脅威がメリットを吹き飛ばしてしまう。

そこでアメリカは、キム・ジョンウンの体制を軍事的に崩壊させる検討を始め、2014年ころから軍事攻撃を時間をかけて準備するようになった。米軍と一体化した自衛隊の海外派遣を可能にした「安保法制」の可決もその準備である。

また、すでに米中両国の間では、キム・ジョンウンの失脚以後、すぐに南北を統一するのではなく、親中派の政権を樹立し、中国版の「改革開放」モデルを適用して経済発展させることで合意が成立しているとされている。

高的中率を誇る「ストラトフォー」の予測

そのようななか、CIAと米国防省を最大のクライアントに持つシンクタンクの「ストラトフォー」は、北朝鮮の軍事的な攻撃を検討する5回シリーズの長文記事を発表した。

「ストラトフォー」の配信する有料記事のなかには、将来現実となる軍事作戦を早期に予告する内容のものがある。イラク侵略戦争の開始は2003年3月20日であったが、その半年も前の2002年9月に「ストラトフォー」は、来るべきイラク侵略戦争の軍事作戦の具体的な内容を評論する記事を掲載した。半年後に実施された作戦は、まさに記事にある通りのものであった。

このように「ストラトフォー」は、予測なのかリーク情報なのかははっきりとしないが、将来実施される軍事作戦の内容を出してくるケースが多い。

今回の北朝鮮の攻撃に関する長文の記事も、北朝鮮攻撃が迫っていることの示唆として読むことも十分にできる。アメリカは、多数のB-2ステルス爆撃機とF-22戦闘機を使って北朝鮮国内の核関連施設とミサイル発射施設をすべて叩くとしている。

きな臭い韓国軍の特殊部隊創設

その後も、こうした攻撃の実施が近いことを示唆する情報が出ている。

まずひとつは、韓国軍が、有事の際に敵の中心人物を取り除く「斬首作戦」を遂行する特殊部隊の創設を決め、火力の補強などのため計300億ウォン(約27億9000万円)の予算を組んだことである。

これによって韓国軍は、特殊戦司令部の配下にある一部の部隊を再編成し、有事の際に「敵の核心標的」を打撃する独立作戦を遂行する準備をしている。「敵の核心標的」とは北朝鮮の首脳部、核施設、ミサイル基地、大量破壊兵器関連施設などのことだ。特殊部隊は一個旅団規模を検討している。

さらに韓国とアメリカは、斬首作戦を遂行する特殊部隊の合同訓練も強化するという。米軍は最近、朝鮮半島に「グリーンベレー」と呼ばれる陸軍の主力特殊戦部隊「第1特殊部隊グループ」、海軍特殊部隊ネービー・シールズなどを派遣した。これらの部隊は、韓国軍の陸軍特戦司や海軍特殊戦戦団などと合同訓練を実施した。北朝鮮の要人を除去して北朝鮮の大量破壊兵器や指揮・通信施設を攻撃する訓練は、昨年だけでも計10回にわたって行われたという。

さらにこのようななか、韓国空軍の首脳部からも「有事において、北朝鮮最高指導部の『物理的除去』を核心任務のひとつとすべきだ」との提案が飛び出している。「物理的除去」とは、すなわち「殺害」を意味する。

提案を行ったのは、韓国空軍の戦略立案を担う空軍本部のユ・ジェムン戦略企画課長(大佐)。5月25日のセミナーでの発言に先立ち、前日に配布した資料の中で上記のように説明し、北朝鮮指導部、すなわち金正恩氏らに対する「斬首作戦」の必要性を強調した。

米韓合同軍+日本による北朝鮮攻撃

このように、いま軍のレベルでは、北朝鮮攻撃に向けた機運が次第に高まりつつあるようだ。やはりこれは、いつとは断定できないが、比較的に近い将来米韓合同軍による北朝鮮攻撃が近い可能性を示唆しているのかもしれない。そのような攻撃が実施されると、日本には「集団的自衛権」があるので、機雷掃討やロジスティックスを担当する後方部隊として自衛隊も戦闘に参加することになるのは間違いない。

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