IT嫌いとして有名だったバフェット氏のバークシャー・ハサウェイがアップル株を大量に買ったとのことで、世界に激震が走りましたね。今回は投資家として、このアップルの企業価値をバフェット流12の視点から検討してみましょう。(『バフェットの眼(有料版)』八木翼)
会社名:Apple Inc.<AAPL>
現在株価:95.22ドル(5月20日終値)
アップル株は割安なのか?バフェット流12の視点で分析する
「IT企業」ではないアップル
個人的にはアップルは、IT企業というよりは、ブランド企業というほうがしっくりきます。
多くの人は、iPhoneが技術的に優位でなくなってきたため、衰えが見え始めたと騒いでいますが、私の見解はちょっと違います。
私は、スマホが発売開始され始めた当時からSONYのXperiaを使っていましたが、正直、「iPhoneと機能だけ比べたらXperiaのが優秀じゃない?」と、ずっと思ってきました。
iPhoneを操作させてもらったこともありますし、iPhoneの優れた部分を一生懸命教えてくれる友人もいたのですが、「正直微妙…」と思っていました。
簡単に言うと、機能の差が縮まったというよりは、格安の機種が出てきたから、高級なiPhoneよりもそちらに乗り換える人が出てきたというだけでしょう。
スマホは自分のアイデンティティ
では、このまま機種の乗り換えは進み、iPhoneは全てのシェアを失ってしまうのでしょうか?
もちろん、その可能性はゼロではありません。
しかし、iPhoneというのは、機能的な側面よりも、もはやファッションブランド的な側面が強いように思います。
特に、私の周りの若い女性の多くがiPhoneを使っています。
この理由としてしっくりくるのが、iPhoneは、機能で選ばれているのではなく、おしゃれな高級ブランドとして選ばれている可能性が高いということです。
よく考えてみてください。あなたが今日、一番多く手にした物はなんでしょうか?
多くの人はおそらく、マクドナルドのハンバーガーでも、NIKEのシューズでも、プラダのバッグでもなく、スマートフォンではないでしょうか?
そして、人前でもスマートフォンを出すでしょう。スマホは自分のアイデンティティなのです。
女性はブランド品を好みます。
男性達が、どんなにiPhoneが機能的には大したことはなく、妥当な価格ではないと文句を言ったとしても、女性はiPhoneを買い続ける可能性が高いです。
ちなみに、人前で出されたスマートフォンの裏には、しっかりとアップルの刻印が刻み込まれています。
素晴らしい宣伝になりますね。
そういう視点で考えれば、バフェットは、コカ・コーラを買うように、アップルを買ったのかもしれないと推測できるわけですね。
多くの人が、機能面やアップルの業績を分析していく中で、この大前提が欠けているように思います。
「不合理」を正当化するブランドの威力
私はiPhoneというブランドは、コカ・コーラと同じように、みんなに愛されるブランドであり続ける可能性が高いと思います。
ブランドの威力を知りたいのであれば、あなたの彼女や奥さんに、プラダのバッグにどれだけ不合理な価格付けがされていて、購入に値しないのか説得してみてください…。
もしかしたら、捨てられるのは、あなたの方かもしれませんが(笑)高級ブランドバッグの売値と原価を考えれば、iPhoneの値付けなんて、甘いですよね。
この前提がある上で、次ページからは「バフェット流12の視点」を用いて、アップルという企業の価値を分析してみます。
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