黒田日銀の異次元緩和の真の目的とは?インフレターゲットか、それとも財政ファイナンスか?これは政府の国債の負債額と日銀の国債の保有量の推移を見れば一発で分かります。(『ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』東条雅彦)
数字で検証すると見えてくる、異次元緩和“真実の姿”とは
量的・質的金融緩和(異次元緩和)開始からまる3年――
2013年4月4日、日本銀行は金融政策決定会合で「量的・質的金融緩和」(異次元緩和)の導入を決定しました。
量的緩和は2%の物価安定目標を達成するまで継続する計画です。金融市場調整の操作目標を金利からマネタリーベースに変更しました。簡単に言えば「国債を日銀が大量に買います!」ということです。
プレーヤーは次の3人です。
- 政府
- 金融機関
- 日銀
(1)政府は毎年約40兆円の国債を新規に発行して、市場に供給しています。
(2)金融機関は市場から国債を買います。
(3)日銀は市場から国債を買います。
政府は国債を新規に発行する立場です。車で言えば、自動車メーカーの立場です。車を買うのは、銀行、生保などの金融機関と日銀です(車を作りすぎて、今の日本は車だらけになっています)。
(1)政府:売り手
(2)金融機関:買い手
(3)日銀:買い手
日銀が市場から国債を買うという行為は、早い話が金融機関(銀行・生保)から国債を買っていることになります。
日銀が金融機関から国債を買うと、銀行のお金が増えます。銀行のお金、このことをマネタリーベースと呼びます。本当のマネタリーベースの定義はもっと複雑なのですが、経済学者を目指している人以外は、正確な定義を知る必要はありません。
- 日銀 → お金を渡す → 金融機関(銀行・生保)
- 日銀 ← 国債を受け取る ← 金融機関(銀行・生保)
銀行の中にあるお金を増やす政策を「量的金融緩和政策」と呼びます。マネタリーベースが増えると、銀行がお金を民間企業に貸しやすくなり、景気が刺激されるとされています(実際にはそうはなっていません)。
インタゲか、財政ファイナンスか
毎年、政府は新規に国債を30~50兆円、市場に投入しています。国債には満期があります。国債とは借金であるため、満期が来ると全額、お金を返済しなければなりません。
満期は2年・5年・10年・15年とさまざまですが、国債は返済までに1年以上の長期のものが多いため、毎年、新規に借金を積み重ねると、当然、借金の残高は増えていきます。
黒田日銀は「2%の物価安定目標を達成するまで継続する」と宣言しています。この目的は本当なのでしょうか?
インフレターゲットか、それとも、財政ファイナンスなのか?