日銀の追加緩和見送りをうけ急速な円高が進行する中、米財務省が日本を為替政策の「監視国リスト」に指定、意図的な円安誘導をけん制する構えを見せています。これに対し麻生財務相は「為替介入は可能」との強気姿勢を崩していません。この認識のズレは何が原因なのでしょうか?元ファンドマネージャーの近藤駿介氏が解説します。(『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』近藤駿介)
プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料版『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』を好評配信中。
米国が日本の金融政策を「円安誘導」と受け取るのは当然
1ドル106円台まで円高が進む中、釘を刺された日本
3年間全く国内物価目標の達成に効果をもたらしてこなかった政策を漫然と続け強化し続けてきたことが、「円安誘導が狙い」だと言われる原因になってきていることをもう少し真剣に考えた方がいい。
日本側は「追加緩和は国内の物価目標の達成が目的」と説明するが、米側は「円安誘導が狙い」と受け止める可能性がある。
出典:2016年5月1日付日本経済新聞「円高・株安、加速の見方」
麻生財務相の勘違い
麻生財務相は為替介入は日本の判断で実施できるという強気の姿勢を崩していないが、問題は「為替介入が出来るか否か」ではなく、「為替介入の効果があるか否か」だ。
米政府が29日に発表した報告書で日本の為替政策を監視対象にしたことに関しては「(為替介入など)我々の対応を制限することは全くない」と明言した。
出典:2016年5月1日付日経電子版
こうした目的と手段をごっちゃにした議論を平気で繰り返すところが海外から理解されない大きな要因となっていることにそろそろ気付くべきだ。
『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』(2016年5月1日号)より
※タイトル、本文見出し、太字はMONEY VOICE編集部による
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