「緩やかな成長」→「経済活動は減速したとみられる」
すなわち、今回27日のFOMC声明文は、大いに注目すべき箇所で、いくつかの変更がなされています。国内経済情勢について、「緩やかな成長」が継続としていた箇所が、「経済活動は減速したとみられる(slowed)」と下方修正された点が注目されます。
アメリカでは、4月28日に発表される第1四半期のGDPが冴えない数字になることが予想されています。FOMCも、直近のアメリカ経済の成長率のスローダウンをとても懸念しているようです。
「家計支出の拡大」についても、「(より)緩やかになった(hasmoderated)」と変更されています。アメリカの家計は実質所得は増えているのですが、ここのところ支出が減っています。
インフレに関しても、前回の「最近、インフレ率が上昇した」との表現がしっかり削除されています。FOMCも、直近のインフレ率低下を懸念しているようなのです。
「アメリカ経済の減速懸念」を、27日のイエレンFOMCの声明文が保証したことになります。株式市場は調整する可能性が高いです。
海外リスクについての警戒感は後退
ただし、今回のFOMCは、国際金融情勢についてはこれまでの警戒感をいくばくか後退させています。
前回3月FOMCの「世界の金融経済情勢が引続きリスクを提起する(pose risks)」という表現は削除されて、「世界の金融経済情勢を詳細に(closely)モニターする」との表現に置き換えているのです。
こうした変化の背後には、
- 乱高下は激しいものの、「原油価格の底入れ」が明確になったことで、中東などの産出国の経済・金融に対する「過度な懸念」が後退したこと
- 中国の「債務バブル再燃」「インフラ投資再開」について、国際社会が広く認識するようになったこと
などなど、「年初の国際金融市場の不安定性」が解消し始めた点が挙げられるでしょう。
この春夏は、新興国減速懸念は遠のいたものの、先進国経済の減速懸念が急浮上してきたのです。「伊勢志摩サミット」の成功が待たれるところです。
『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2016年4月28日号より一部抜粋、再構成
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