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安倍政権がひた隠す「年金スキャンダル」 偽りの株高、代償計り知れず=斎藤満

「消えた年金」問題や「物価スライド見直しによる実質減額」など、国民はこれまでも年金に対する様々な不安を感じてきました。さらに今度は、この年金の運用成果の発表が、夏の参議院選挙前を避けて先延ばしされようとしています。

国民の年金積立金を管理運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用結果には、選挙前に出したくない「不都合な真実」があるようです。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

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「年金損失が明るみに出れば7月参院選で不利」判断か

GPIF議事録「年に1回の報告だけに減らすべき」

昨年7-9月期にGPIFの運用は7兆8千億円もの損失を出したこともあって、15年度は年間でも大きな損失を出した模様です。

3月末の相場が確定すれば、時間をかけずに3月までの運用実績はわかります。これまでのスケジュールをみても、2か月後くらいには成果を発表していました。15年度分は5月末か6月初めには発表できるはずです。

ところが今回は参議院選挙後の7月29日まで発表を延ばす模様です。選挙前に年金が大きな損失を出したとわかれば、選挙戦で不利になるとの判断があったようです。

3月10日に開催されたGPIFの運用委員会の議事録を見ても、そもそも四半期ごとに成果を発表すると、損だ得だと言われるだけだから、年に1回の報告だけに減らすべき、との発言が見られました。

もともと年金は安全資産で運用していた

国民の年金積立金は、政府(厚生労働省)が集めて、そのまま支払いに充てているわけではありません。国民から預かった積立金を一旦プールしてこれを運用し、将来の支払い原資を増やそうとしています

従来は安全資産としての財投債(財政投融資の貸付原資として使うために発行するもので、通常の国債とほぼ同じ物)で運用していたので、損を出して資産が減ることはまずありませんでした。

しかし、積立金の規模が大きくなったこともあり、2001年度から市場での運用を始めました。それでも3分の2は安全な国内債券で運用し、残りを株や外国資産に充てていました。

最初の2年はITバブルが弾けた時期でもあり、運用で損を出し、年金資産が減少したのですが、その後は徐々に成果を上げ、資産額が一時10兆円以上増えました。しかし、リーマン・ショックでまた資産が減る事態となったのです。

Next: 安倍政権の「株価押し上げ」八百長芝居に使われたGPIF

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