起業家・高岳史典の「情熱的にいまを生きる！」最新ビジネス事情から老いない習慣まで人生シゴト遊びココだけの話

2. メイン「銀行とP＆Gとライブドアとラムチョップ」
─ 日本で唯一の数奇なキャリアを歩んできた筆者が、実際に見て、聞いて、体験した「ここだけ」の話の数々。単なるゴシップに終ることなく、それぞれの会社への愛情を込めて、皆さんのお役に立てるお話を綴れればと。

『優秀な人って？』
「あの人は優秀で」なんて台詞、時々聞きますよね。

僕の年代なんかになると

「彼は優秀だよ」

とか

「彼女はxxだけど優秀だよ」

とか、なんだか上から気味な言い回しになってたりして。

（女性を指す場合、なぜか「xxだけど」って余計な枕詞が入りがちと思うのは僕だけでしょうか？）


で、そんな時いつも思うのです。

「優秀」ってなに？

って。


学生時代の「優秀」は、「勉強ができる」こと、偏差値が高いことのほぼ一択でした。

社会人になってからの「優秀」は、もっぱら「仕事ができる」こと。

ここでいう「仕事がきる」は、その会社や職場で与えられた役割に対するパフォーマンスであり、

P&Gならば、共通の査定基準に対する進捗度合い、
ライブドアならば、役割に求められる結果（営業ならば売上）、

といったように会社によって明示的・暗示的に「仕事ができる」ということの物差しが共通していて、したがって同僚と「あの人は優秀だね」というと、大体は頭に浮かぶ人物が一致しました。


でも40代くらいになって、「仕事ができる」ことは、所属する会社や、そこでのパフォーマンスとは必ずしも一致しないのだなぁと体感することが多くなりました。

いろんな会社の人、あるいは会社勤めでない人と多く出会うようになっていったことが大きな理由かと思います。

自社、あるいは自分が所属する職域を越えて、素晴らしい仕事をする人が沢山いて、その人が会社でどんなポジションかとか、どんな評価をされてるかとかの知るよしもないままに、とにかくできる人だなぁと。

で、この頃になると相手の肩書き（あるいは自分の肩書き）がまるで気にならなくなりました。一流企業の役職者とスナックのマスターがいて、どちらが仕事できるかというとマスターだと思う。そんな体験、40代以上の皆さんならあるんじゃないでしょうか？

僕は六本木の「夜光虫」ってスナックでいまでもしょっちゅうあります^^

逆に言えば、自分の会社の肩書きなんぞを社外でも振りかざすような行為がいかに愚かかということもわかって戴けるかと思います。

部長だろうが社長だろうが、あるいは何かに成功してようが、それはあくまでその会社の中での話であって、外で会った人には全く関係ありません。

にもかかわらずいきなり相手に対して上から話しかける人、周りにいませんか？

そんな人と大切なオフタイムを過ごすのはとっても無駄だと言い切ります。


さて、さらに50代になってくると（つまり今の僕の立ち位置ですね）、もはや「仕事ができる人」＝「優秀な人」という図式も崩れてきております。


例えば京都のお茶屋さんでご一緒させて戴いた「先生」と呼ばれる人生の大先輩。

本来は僕のような小僧がお話しするのも恐れ多い存在かと思うのですが、とても気さくに話しかけてくださり。

そんなとき、お互いの仕事はなんだみたいな無粋な話は一切なく。
世相や京都の歴史を教えて戴くこともあれば、ちょっとした色恋の話から先生の最近の失敗談まで飛び出したり。

息子みたいな年齢の僕にも優しく、孫みたいな年齢の舞妓さんにも優しく、ベテランのお茶屋のお母さんにも優しく。

そう、とにかく優しい。

そして「優秀な人」って「優しさに秀でてる人」だと思うのです。


ウルトラチョップでスタッフに優しく接してくださる方、電車で楽しくて声をあげてしまった子供を優しく見守る人、コンビニで慣れないレジを打つアルバイトに優しく接する買物客。会社なら、失敗した部下を厳しくも優しく励ます上司とか。

他人の良いところはもちろん、ちょっとした過ちにも、優しく対応できる人。
実はそういう人が「優秀な人」なんじゃないかなと。

僕なんかはご存知の通りまだまだ猛々しいところがあり苦笑
だから「優秀」とは「優しさに秀でる」と考えるにつけ、なおさら身に沁み入る次第です。

「優秀な人」になれるよう引き続き精進して参ります！